脱水に注意しましょう(医長が教える子どもの健康 2019年8月号) |
脱水とは体内の水分量が少なくなることです。脱水になるとのどが渇きます。また、おしっこの量が少なくなり、おしっこの色も濃い黄色になります。このような軽度の脱水に気付くには、こどもを注意深く観察する必要があります。通常は、水を飲めば回復します。
中等度の脱水になると、脈が速くなったり、興奮しやすくなったり、うとうとしがちになったりします。また、涙が少なくなり、粘膜が乾いたりします。さらには、皮膚に軽度のたるみができたりし、たるんだ皮膚は、つまんだ形のままで、元にはすぐ戻りません。乳児では、大泉門や眼がくぼんできたりします。
重度になると、脈が弱くなり、血圧も下がり、手足への血液の流れが悪くなります。このため、手足が著しく冷たくなります。迅速に対応しないと、命にかかわる事態です。
夏の暑い時期や運動によって、大量の汗をかくことによって脱水になります。入浴やプールでも、大量に汗をかけば脱水になります。また、下痢や嘔吐によっても、体内の水分量が少なくなって脱水になることがあります。こどもの脱水の原因で一番多いのは下痢です。
乳幼児や高齢者は、のどの渇きを感じにくかったり、水を飲む行動を自分から進んで取りにくかったりするので、脱水になりやすいものです。周りの人の注意深い観察が大切です。
まずは、水分を摂取します。
中等度以上の脱水が疑われたら、迅速に医療機関を受診しましょう。また、何らかの事情で水が飲めない場合や、下痢や嘔吐が激しくて口からの水分摂取では間に合わない場合は、医療機関で点滴によって水分を補給しましょう。
夏の季節は、大量に汗をかいたり、暑い場所にいて、脈が速くなったり、めまいなどの症状が出たときは、脱水による症状の可能性がありますので、すみやかに医療機関を受診しましょう。